二の月一の週三の日。グレストスへ向かう途中にある古代遺跡を、コーヴィアとユィニーの兄妹は訪れていた。セントレストからも、グレストスからも遠いが、目印になるほど大きいということで有名な古代遺跡である。
単に大きいだけではなく、探索も困難で、一般の旅人は目印にはしても近寄らない。かつて雨宿りした旅人が、巨大な擬似魔法に襲われたと噂になり、腕の立つ冒険者が実際に行って見たことで、それは真実だと証明された。他の罠はなかったようだが、浅いところでそれだけ強い擬似魔法がかけられているなら、深いところには何があるのか。きっと凄い宝が眠っているに違いないと噂されるが、最深部まで潜った者はまだいない。
コーヴィアとユィニーにしても、今回は様子見のつもりで最深部まで潜ろうとは考えていない。時間が立てば復活する古代遺跡の擬似魔法。本気で探索するなら、出現場所を覚えて無用な戦闘を避けられるように、綿密な計画を立てる必要がある。
外から見える遺跡の階層は三階建て。しかし、入り口は地下に向かって伸びており、下ったところは歩いた距離からすると地下二階に相当するだろうか。
「一階まで到達すれば、近道を作れそうだな」
「遺跡壊すのはお兄ちゃんがやってね」
それだけの薄い箇所があればの話である。形状からして、そんな場所があるとは考えにくいが、長年の間に石が崩れて脆くなっている部分があれば可能性はあるだろう。
最初に到達した広い部屋。その先には別の廊下へと続く暗がりがあった。四角い枠に扉はなく、朽ちた様子もない。入り口にも扉はなかったから、もともとそういう造りなのだとわかる。
その通路に近づいたところで、暗がりから明るいもの――真っ赤に燃える炎が飛び出してきた。速度は遅かったので左右にばらけて兄妹は回避する。突き抜けた炎は形を作り、大きな巨人の姿となって通路の前に立ちはだかった。
「入り口からこれか。なかなか燃えてくる演出じゃねえか!」
「じー」
「炎だけに……ふぐっ!」
「言わせない」
しょうもないことを言おうとしたコーヴィアの口に、ユィニーは右手の先から伸ばした太い触手を突っ込む。苦しそうに触手をぺちぺちと叩く兄を無視して、ユィニーは炎の巨人に視線を向ける。
「核は炎の中、と」
左手の触手を一本の鋭い槍のように変化させ、ユィニーは的確に核を貫く。炎の熱は感じるが、女王の力である触手の耐熱性は抜群。もっとも、焼けるほどの熱さは感じなかったので、恐怖さえなければ生身の人間でも倒すことができるだろう。
「勇気を試す門番、ってところだね」
「ふぐ。ほれより、ほれ」
「忘れてた」
兄の口に突っ込んだままだった触手を抜いて、人間の右手に戻す。触手にしているときは人間の生命以外にも色々と吸収できるので、よだれでべとべとになることはない。熱に耐えられたのも、半分はそれによるものだ。
「よし、進むぞ!」
「うん」
意気揚々と通路を進むコーヴィア。今回は最深部を目指す本格的な探索ではなく、様子見の探索であるため普段よりは冷静である。
通路の先にはまた部屋があり、その先にはまた通路が。単純な造りで迷わせるような仕掛けもないが、それゆえに擬似魔法との相性がいい。地下を含めて五階建ての構成で、それが続けば行きと帰りで二度の交戦は避けられないだろう。
仕掛けられた擬似魔法は大型のものが多く、通路への道を塞がれては戦わずに突破するのは難しい。もっとも、地下二階に出現する擬似魔法は小手調べの意味もあるのか、見かけ倒しで、恐れて躊躇さえしなければ倒すのは容易だった。
「この仕組みなら、やっぱり壁に穴を……だが、もしかすると……」
コーヴィアはぶつぶつと口にしながら、通路に現れた小さな擬似魔法を倒す。時間稼ぎのために仕掛けられたようなものなので、こちらも倒すのは簡単だ。
いくつもの通路と部屋を抜けて、コーヴィアとユィニーは地下一階に登る。大きな階段の前には罠が仕掛けられているでもなく、登るのは簡単だった。しかし、登った直後の部屋に現れた擬似魔法の罠に二人は足を止めた。
階段を登っている間に準備されたのか、広い円形の部屋の中央には大きな水の塊が。それは後方の壁を守るように水路を地面に巡らせていて、倒さないと進めないのは明らかだった。
それだけならこれまでの擬似魔法と同じ。しかし、そいつには大きく違う点がひとつだけあった。
「核が複数か。厳重な守りだな」
地下一階に現れた厄介な擬似魔法に、兄妹は驚きはしない。行き帰りに二度遭遇させることを考えると、序盤に強力な罠を仕掛けるのは当然である。
「それに、核が動いてる」
張り巡らされた水路を流れるように、核は常に動いていた。中心の塊には核はなく、あちらから動く様子もない。近づかなければ危険はなさそうだが、守りに特化された擬似魔法は術者がいないといっても厄介なものである。
しかしそれも、普通の冒険者の場合である。
「お兄ちゃん、引きつけておいて」
「任せろ!」
こちらから動くと相手は反撃をしてくるだろう。その攻撃を受けて、時間を作るのがコーヴィアの役目だ。
剣を抜いて一歩近づいた彼に、巨大な水槐がそのまま襲いかかってくる。サイドステップで回避すると、水が弾けて薄い膜となり、コーヴィアの体を覆いつくそうとする。単なる水なら衝撃は弱いが、相手は擬似魔法。見た目と威力は必ずしも一致しない。
その薄い膜に透けて見えた視界。そこには白く細く、鋭い触手が複数。ちょうど彼らが確認した核の数と同じ本数の触手が伸びていた。
水がコーヴィアに襲いかかる寸前に、その触手は全ての核を的確に、一撃で貫いて破壊する。核を消された擬似魔法の水はその場で霧散し、兄妹に傷一つ負わせられずに消えていった。
「楽勝だね」
「ああ。でも、こういうのが続くとなると……」
「お兄ちゃん、ちょっと怪我するかもね」
多数の核をまとめて破壊できるのはユィニーだけ。コーヴィアも戦えるので、何もできないわけではないが、さらに核の守りの固い相手がいたら怪我は避けられない。
もっとも、危険な古代遺跡を探索をする以上、多少の怪我は想定済み。ただ、その状態ではあまり深くは潜れないので、早々に帰還するのを余儀なくされてしまう。
「せめて一階まではいきたいところだな。そして壁を壊す!」
「ま、お兄ちゃんがいいならいいけど」
二人は通路の先に向けて歩き出す。次に着いた部屋に仕掛けられた擬似魔法も厄介なものであったが、地下一階の入り口にいた擬似魔法に比べると大したことはなかった。
とはいえ地下二階に比べると時間をとられるのは事実。それでも兄妹は順調に部屋を突破し、階段を登り、無事に一階に到達した。最初は再び広い部屋。しかしそこには、小さな窓があるだけで、あたりに広がるのは石の壁ばかりだった。
警戒しながら部屋を歩き、コーヴィアは窓の外を見る。木々の広がる外の様子からすると、遺跡の裏側にある窓のようだ。
「とりあえず、ここを壊せば便利になりそうだな」
「壊しとく?」
「いや、それよりもこの部屋だ」
窓には柱はなく、軽く触れてみた壁も薄いから、破壊するのは難しくないだろう。むしろ壊されることを前提として、脆い作りにしているようにも感じられる。
だが、窓のない他の三方の壁は、全てしっかりとした造りで簡単に破壊することはできなさそうだった。
「ふむ……」
コーヴィアは思案する。外から見た遺跡は三階建て。どこかに上へ登る道は隠されているのだろうが、さすがにこの壁を全て破壊するのは彼には無理だった。ユィニーに頼めば話は別だが、柱のない広い部屋。当てずっぽうに壁を壊していっては、途中で天井が落ちてくる可能性が高い。
退屈そうに触手を持て余すユィニーを尻目に、コーヴィアは遺跡の壁をこんこんと叩きながら、どこかに薄い箇所はないかと探していく。地道な作業ではあるが、こういうときはオーソドックスな手法が一番だ。
そして数十分後。コーヴィアは肩を落として遺跡の床に座り込んだ。
「だめだ! 突破できそうな場所はない。罠よりも厄介だな」
古代遺跡を探索するような物好きは少ないし、いたとしても彼らほど容易に突破できる人間はいない。最深部まで到達できないのは擬似魔法が強力だから。そう思っての様子見だったが、待ち受けていたのは別の問題だった。
「とりあえず、と!」
窓のある部分の壁を力を込めた一撃で破壊する。人が一人分通れるような空間ができたが、その空間は長くは維持されなかった。破壊されてから数分後、周囲に現れた擬似魔法が崩れた壁をみるみるうちに修復してしまったのだ。
「なるほどな。出口兼、知ってるやつしか使えない入り口ってことか」
古代遺跡を建築した誰かにとって、並の探索者がここで立ち往生することは想定済みだったのだろう。
「しかし、この部屋は……仕掛けも見当たらないし、まるで、いや、そうか!」
何かに閃いたように、コーヴィアは階段の先、真っ直ぐ正面の壁に手を触れた。
(ここは古代遺跡だ。俺たちの知らない、高度な古代文明の遺跡。なら、強さの基準から見直せば良かったんだ。現代の基準ではなく、古代の基準に)
「ユィニー、ここに全力の一撃を!」
「いいけど……一本だけだよ?」
「それで十分だ。頼むぜ」
言われたままに、示した壁にユィニーは一本の太い触手を伸ばす。壁を破壊するために先端を硬質化させた触手は、一撃で厚い壁を破壊して、貫いていた。
コーヴィアは破壊された壁の穴の先を見る。穴の先には通路のような空間が広がっていた。そしてそのまま時間が過ぎるのを待ち、数分。先ほど壁を壊したときと同じように、小さな擬似魔法が壁を修復していた。
「どうやら、壊して進めってことらしいぜ。相当な実力者以外はお断り、ってわけだ」
「ふーん。私はやらないよ」
この壁を突破するだけならまだしも、常に破壊しながら進むのは骨が折れる。それに、擬似魔法との戦いもあるかもしれないのだ。さすがのユィニーでも消耗してしまう。
「わかってる。ここは後回しだ。せめて、これが使えるようになってからじゃないとな」
コーヴィアは腰に添えた、自らの剣に手を触れる。そして、旅の途中で出会ったリリファやマセリヤ、ミレナにスースエル――四人の少女を思い出す。彼女たちのように、女王から託された剣を使いこなせれば。
「待ってろよ。次に来たときは、必ず奥まで到達してやるからな!」
遺跡に対して宣言するコーヴィア。ユィニーは兄の背を見ながら、ぼんやりと後方から迫る気配に注意を払っていた。
「残念だが、貴様にはその前にやってもらうこがある」
階段を登ってきたのは一人の男。ユィニーは兄の傍で彼を見つめながら、やや遅れているもう一つの気配に集中していた。必然的に対応するのはコーヴィア一人になる。
「あんた、誰だ?」
その男――身長は百七十五。赤いショートヘアに、強い意志を感じ取れる顔立ち。茶色の瞳で、黒い衣服に身を包む少年――は、真っ直ぐにコーヴィアを見ていた。
「俺はロゼック。神を倒した人間に復讐を誓う者だ」
「何の話だ?」
わけがわからないといった様子のコーヴィアに、ロゼックは遺跡の壁を見回してから言葉を続ける。
「この遺跡が古代遺跡と呼ばれる前、一つの戦略拠点として使われていた頃。人間は自らを創造した神々と争っていた。他の動物たちと同様、自然に繁殖する餌として造られた生物の一種でしかない人間が、その手で創造主を倒そうとしたのだ。もっとも、そのような知能を与えてしまったのが失敗であって、それが神の最初の過ちだったのだろうな。神もまさか、魔法を真似るほどの技術を独自に編み出すとは思うまいて」
ロゼックは苦笑してから、さらに話を続ける。
「そして長き戦いの末、人間は神を倒した。しかしその代償は大きく、人間は高度に発展した文明とその記憶を失い、敗れた神は残滓となって世界に残った。十一体の女王と、十一本の剣。神の記憶と力の一部は女王に、力の大部分は剣に。そして、神々の肉体の多くははぐれ魔物となって、戦いの記憶のままに人間を襲い続けている」
そこまで言うと、ロゼックはここからが本題だとばかりに大きく息を吸って、声を張り上げた。
「自分たちを執拗に襲う生物を、魔物と呼び悪とみなすのは仕方のないことだ。だが、人間たちは女王までをも同じ悪として扱う! その手で倒した神の残滓を、自らの成したことも忘れて貶める人間どもは、この俺が絶滅させる!」
「ひとついいか」
「ああ。貴様たちのことは背後から見ていた。貴様は母から聞いていないのだろうが、真実を知って協力する気になったのなら、歓迎するぞ?」
「人間を絶滅させたら、女王も食事に困るんじゃないか?」
「ふん。知ったことか。貴様、協力する気がないなら、その剣を渡してもらおうか。十一本の剣を集め、その力で俺は人間を絶滅させる。完全にな」
「愚かな兄は無視しても結構です。私たちは、絶滅など願ってはいませんから」
階段の傍の壁際から、少女の澄んだ声が響いた。ロゼックが話している間に登ってきていた少女は、話が終わるまでそこでじっとしていた。
「十七歳にもなってこれですから、私も困っています」
薄い緑のレース服に身を包んだ少女は、百三十ほどの小さな女の子だった。瞳は兄と同じ茶色。明るい緑髪はセミショートのツインテール。顔立ちは美しいが、他を寄せ付けない印象を受ける。胸はユィニーと同じくらいのささやかなものだ。
「私はリッセ。兄とは四つ離れた妹です。二人とも北方の地に住む、意識の女王の血を受け継いでいますが……あなたたちと同じく、力を使えるのは私だけ。そして兄は……」
「この樹木の剣の適応者、というわけだ」
ロゼックは背負っていた大剣を抜いて、力強く振り下ろす。
「さあ、もう一度聞こう。貴様たちは協力するか? それとも、四天王のリーダーであるこの俺と、その一角である妹を相手に戦うか?」
「面倒だから帰るのはなし?」
剣を構えようとするコーヴィアは放っておいて、ユィニーは言った。
「ふん。そんなもの……」
「私はそれでもいいですよ。今回は話をするのが目的ですから。見ての通り、兄は愚かなので勝手に剣を抜いていますが」
「リッセ。彼らが協力しないのなら、いずれ戦う運命にある。ならば、ここで戦って剣を奪うのが早いだろう」
「確かに俺たちには協力する気はないが……だからといって、黙ってこの剣を渡す気もないぜ。俺にとっても大事な力だからな」
剣を構えるコーヴィアに、ロゼックは不敵に笑う。
「ふ……使いこなせない力など、力ではない。力とは、こういうものを言うのだ!」
振り上げた大剣の先から、太い樹木が伸びて天井に根を生やす。それは急速に成長していき、無数の枝がコーヴィアに遅いかかった。
「それくらい、どうってことはないぜ!」
襲いかかる枝を剣で切り落とし、コーヴィアは剣先をロゼックに向ける。
(勝手に始めて……)
(やはり、愚かですね)
熱くなっている兄たちを、呆れた顔で見つめる二人の妹に気付かず、コーヴィアとロゼックは戦いを続ける。
育っては襲いかかる枝を切り払いながら、コーヴィアはロゼックに接近していく。
「あんたの力、ここでは使いにくいんじゃないか?」
「確かにな。だが、貴様より優位であるのは間違いない」
事実、ロゼックは伸ばした樹木はそのままに、大剣を構えてコーヴィアの接近を待っている。ここまでの擬似魔法との戦闘も考えると、疲労はコーヴィアの方が上だ。
しかし、コーヴィアも必要最小限の動きで枝を払っており、ロゼックにとっても圧倒的に優位とはいえない状況であった。
「届いたっ!」
「甘い!」
コーヴィアの長剣と、ロゼックの大剣がぶつかり合う。武器の重さでは大剣の方が上だが、先に動いたのはコーヴィア。力の入っていない大剣では、受けることはできても押し返すには足りない。
その隙を逃さず放たれた連撃に、ロゼックはやや押され気味になる。武器の得意な距離の差もあるが、剣の腕はややコーヴィアの方が上回っているように見えた。
「なかなかやるではないか。だが、これならどうだ?」
大剣で受けながら、ロゼックはコーヴィアの足元に枝を伸ばす。足場を崩されてコーヴィアも思ったように連撃を放てない。
戦いは互角。二人の実力は拮抗していた。
「お兄ちゃん、そろそろ終わり」
「こちらもそうしてください。愚かな兄さん」
妹たちからかけられた声に、コーヴィアとロゼックは大きく頷く。
「それじゃ、この一撃で勝負をつけるとしようぜ!」
「望むところだ。俺の最大の一撃、食らうがいい!」
気力を込めて全力の一撃を放とうとする二人の兄。しかし、その一撃がこの場に放たれることはなかった。
「あ、それやらなくていいから」
「兄さん、静かになってくれますか」
ユィニーが伸ばした触手はコーヴィアの両腕と両脚を絡めとり、動きを封じる。
対するロゼックは、リッセの声が聞こえてすぐに大剣を持っていた腕を下ろし、さっきまでの気勢はどこへやら、じっと動かなくなった。
「何したの?」
「精神支配を。兄さんは愚かですから、この程度は簡単です」
「私、あなたとは戦いたくない」
「私も無用な戦いは望まないです。しかし、あなたの兄が剣を持つ以上……」
「だよね」
ユィニーとリッセが直接戦う理由はない。けれども、リッセが兄を襲うというのなら、ユィニーは兄を守るために戦いを避けるわけにはいかない。
ユィニーは触手を一振りして壁を壊すと、拘束したままのコーヴィアを持ってそこから飛び降りた。
「ちょっと待てユィニー、勝負はまだ!」
「怪我したら遺跡探索、できないよ」
「む」
ユィニーの冷静な一言に、コーヴィアはそれ以上は何も言わなかった。
「ではこちらも」
小さな擬似魔法により修復されつつある崩れた壁の隙間から、兄妹が去っていくのを確認して、リッセは支配していたロゼックの精神を解放した。
「……ん? リッセ、やつは?」
「戦いは終わりです。目的を思い出してください」
冷たい目で睨まれて、ロゼックは精神支配されていたことに文句も言わずに、妹に従った。この兄妹にとって、暴走した兄を、妹がその力で止めるのはいつものことである。少なくとも、基本的に記憶の残らない精神支配を受けても、受けていたことに気付けるくらいは。
遺跡で出会った二組の兄妹。神の力を宿した剣に関わる者たち。剣を巡る戦いが静かに始まりを告げていたことに、彼らの中で気付かない者はもう誰もいなかった。